この日はNAの砂丘PTに参加していました
編成はナシ青黒詩・自分が戦士です
と、外人PTにはありがちですがPLに黒タルさんと赤タルさんが来ています
しかし、その日のパーティはいつもと違いました。
低レベルパーティでカニを狩りつつ、釣りをしていた自分がまず気づいたのですが
レベル55の【ナイト】と【竜騎士】が2人で、自分達PTが釣っていたオアシス側の雑魚を次々と倒していました
特に自分達のレベル帯から見て一番うまいカニ・ゴブを重点的に…
そんな訳で獲物がウサギくらいになってしまったので、自分達は【キャンプ】を変更する事にしました
OP付近です
カニを狩っていると先ほどの【ナイト】と【竜騎士】がPTの後を尾けてきました
そして自分が弓を構えている間に、挑発でモンスターを横取っていったのです
悪意を感じる…?
カニがまずくなってきた頃、今度はトンボと羊を狙うことにしましたが、レベル差もあってか竜騎士組の釣りのスピードに勝てません
目を離した隙に釣ろうにも、【挑発】で背後から奪われていく
これはさすがに、狙ってこういう事をやってるんだろうなと思いました
更に行動はエスカレートしていき
【竜騎士】は倒しもしないのに横取りして獲物を奪ってまでトレインをし始める
こちらのPTの釣り役に付いていって、パーティが戦闘中ならトレインで突っ込み、真ん中で突っ立ったりしてとても迷惑!
しばらくの間は、PTメンの皆でずっとそれに耐えていたのですが…
遠隔武器を構えている間に取られるので、いつの間にか獲物を確保するため【調べる】で強さを確認するのを怠ったまま挑発で釣りを続ける自分達PT
だけどせいぜいレベル15程度のPTがそんな危険な釣りを続けていられるはずもなく
とうとう【とてもとても強い相手です。】のゴブに前衛2人が倒されてしまいました
と、その時
今まで黙っていたPLの黒タルさんが竜騎士の元に向かうと、トレインに向かってスリプガIIとサンダガIIをぶつけて一掃
そして黒タルさんは何故こんなことをするのか聞いたのですが、その問いかけに【竜騎士】は
『
どうやったら君達を殺せるのか試そうと思って』
と、答えたのです
今時こんな露骨な。
開いた口が塞がりません
そして思うツボにハマってしまったという訳です
獲物を取られないよう釣りを焦った結果、何度か倒れている訳ですから
『たかがゲームにむきになって馬鹿じゃないの?』
そう言う竜騎士に、黒タルさんは何かを話し始めました
それは長い文章で全ての正確な意味は訳しきれなかったのですが、どうやら「FF11はオフラインのゲームではない。"自分以外の誰かと一緒に楽しむ"ゲームなんだ」という事を話しているようでした
『ただのゲームだぜ?』
その後も竜騎士の嫌がらせの中で狩りは続きました
本当はとっくの昔にパーティを解散してしまっても良かったのかもしれない、GMを呼べば良かったのかもしれない
でも誰もそんな事は言い出しませんでした
自分と同じで、ただしゃくだったのかもしれませんが
PLの手を止め、黒タルさんは根気強く【竜騎士】に話し掛け続けました
普段からまじめな人なのかもしれないけど、とにかくFF11が好きなんだなという風に感じました
そして時間が経つにつれ…
始めはほとんど黒タルさんの話を無視していた竜騎士の返事の数が増えていくと同時に、嫌がらせの手は緩まっていき…
いつしか嫌がらせそのものを止めていました
驚く事に、竜騎士とナイトの二人組は黒タルさんの話を黙って聞いていたのです
しばらくしてナイトは去っていき
竜騎士も、黒タルさんのデジョンIIに送られていきました
『君達の黒魔道士は間違っていない…』
と、そう言い残して。
二人組が去ったその後、皆で黒タルさんを拍手で出迎え、30分ほど狩りをしてPTを終えました
荒らし行為をする相手を一人の人間として向き合って説得を続けた黒タルさん
その説得を受け入れて、自分の間違いを認めたあの二人組
やっている事はただのゲームでしかなくても、そこにある人間性は他人を傷つけることも、そして心を動かすことも出来る本物のものだという事を再認識した、午前のとある砂丘でした。