メルゴダ護政区へ
いよいよ最後のエリアが近付いて参りました
「
待て!」
「ミシアルを殺してどうする!?」
それを聞いたイリスの顔が、不気味な笑みで歪む
「このゲートを開く」
「メルゴダが300年以上の時を経て」
「またこっち側と繋がるんだ」
「それには――」
「命が必要なの――」
「ズールの濃厚な命が
手に入らないのなら――」
「エルフ――」
「あるいは、この巫女――」
「あの怪物とエルフ――
巫女の命が等価だというのか」
「
この世界には二種類の命があります」
口を開いたのは白竜付きの巫女ミシアルだった
「生きる命と――」
「生きる者を守る命――」
「わたしのは――」
「人を守るための命です――」
「エルフも同じです――」
「その長命で人を見守り――」
「時とともに生じる歪みを
修正する役割を担っているのです」
「ズールという怪物は――」
「おそらく、あれも、なんらかの
必要があって生み出された命――」
それまでは黙って話をさせていたイリスだったが、ミシアルがズールについて言及すると突然彼女を殴りつける
ディアマンテスにとって聞かれると都合が悪いことだったのだろうか
かつての仲間に乱暴を働きながらも、ニタッと気味の悪い笑みを浮かべるイリス
「ゲートを開くのに必要な命は
誰のものでも同じってわけ」
「ただ、神殿のみんなは
昔からの知り合いだから――」
「取り引きしてやってもいい」
「ズールの命が入った
命の器を渡せば――」
「ミシアルは返してやる」
「さあ、考えて」
油断したイリスがミシアルに完全を背を向ける
その瞬間、ミシアルはイリスを突き飛ばし、そして…
「うそ!?」
「ミシアル!?」
あまりに突然の行動に、イリスが、そしてレオが目を疑った
「覚者たちよ――」
「怪物の命を渡してはいけません」
「わたしは理を守るために
この世界に遣わされました」
「今、この状況において
あなたたちを守るとは――」
「それはいかなることか
考えた結果――」
「こうすることがわたしに残された
唯一の道なのです」
「この世界を脅かす者に
屈してはいけません!」
「ほんの少しの譲歩が
この世界を壊してしまうのです!」
「みなさん――」
「
ダメだ――」
ミシアルはそっと微笑むと、ゆっくりと手を広げ…
「何!?」
「
これ何!?」
「どういうこと!?」
敵の手に渡るぐらいなら…ミシアルは自ら命を絶ってしまったのだった
想定していなかった状況に、混乱して取り乱すイリス
レオが伸ばした手は届かなかった
悔しさ、そして怒り…様々な感情を滲ませた顔をイリスへと向けるが、イリスは…
壊れたようにケラケラと笑い始める
もう迷いはない…レオは力一杯剣を振り抜き、イリスを仕留めようと斬りかかる
鬼気迫るレオの様子に、イリスは意地悪く笑いながらレオに問いかける
「ミシアルに影響されちゃったの?」
「お前を操る錬金術師の狙いは――」
「――俺の弱味をつくことだ」
「だから」
「屈するわけにはいかない」
「認めるわけにはいかない」
「強くあれ――」
「それがミシアルの遺志だ」
「自意識、強すぎないかな?」
「悪いか」
イリスとの最後の戦いが、始まる…!
戦闘パートです
敵はレベル49イリス、そしてやはり降って沸いたように現れたレベル48ダムドゴーレムが二体です
ゴーレム二体同時かよ…という風になりそうですがしかし
全く同じ名前の敵を二体同時なんていうのは、体力が少なめに設定されてるって相場が決まってんだよ!(モンハン脳
自分のPTはセージポーン中心の戦闘になので、三体ぐらいならしっかりタゲを取ってくれて敵がフリーになることがなく、詠唱中に邪魔が入ることはほぼありません
とりあえずダムドゴーレムぐらいならソーサラーにとっては得意なモンスターです
狙える部位が減っていく通常ゴーレムよりも倒すのは楽ですね
わざわざミストを使うよりもレインでガシガシいった方が早いのではないでしょうか
さくさく片付けていきまして
最後にイリスをやって終了です
ハンタータイプといっても攻撃らしい攻撃を確認することは出来なかったので、焦って最初に倒すようなことはしなくても大丈夫かもしれませんね
どうせ三体全てを片付けるまでクリアにはなりません
で、イベントに戻ります
遂にイリスを追い詰めたレオと覚者
致命傷を負い息も絶え絶えのイリスの側に、レオがそっと寄り添う
「気に入らなかった――」
「寂しかった――」
「わたしがいなくても――」
「世界は変わらない」
「レオは」
「変わらない」
イリスが伸ばした手を、レオは取らなかった…
「禊の神殿の誓いで――
俺は変わった」
「おまえが変わらずに過ごしているのが
理解できず――」
「だから」
「変わるしかなかった」
「なんだ――」
「すれ違いかぁ」
イリスを看取り、レオはゆっくりと立ち上がる
命の器を取り出し、それを勢いよく振りかぶるも…
レオには命の器を投げ捨てることは出来なかった
「――ディアマンテスってのは」
「どんな野郎だろうな?」
「イリスをこの世界から
引き離すなんて――」
「顔を見ておかないと」
「気が済まん」
そう言うなり突然駆け出すレオ
驚いた覚者はレオを追おうとするが…
レオは命の器を持ったまま行方をくらませてしまった
巫女のミシアル、そしてイリスの死を前にしてレオが向かった先とは…?
覚者は戻り、神殿の人々に経緯を説明する
「――嗚呼、ミシアル
なんということを――」
「ジョゼフ様、もうこうしてはいられません
ミシアルの覚悟に報いることを考えましょう」
「ふむ――そうかもしれんな
我々に残された魔物の命」
「その命で白竜がまた羽ばたいてくれるのであれば
すべての犠牲は報われる――」
命の器を使い一刻も早い白竜の回復を…
そう言いかけるジョゼフに対し、クラウスはあまりに衝撃的な進言をしたのだった
「違うんです!
その命は第三のアークに捧げるんです」
「ズールは死ぬ間際に
ゲートを開くと言ったとか」
「おそらく、そのゲートの向こうに
ディアマンテスがいるのでしょう」
「ならば、こちらから行ってやろうでは
ありませんか」
「馬鹿なことを言うな!
今後のことは――」
「会議などで時間を浪費している
場合ではありません」
「クラウスよ、落ち着け
せめてレオの意見を聞いてからでも遅くはない」
命を使ってゲートを開く…それはズールが、そしてディアマンテスに操られたイリスが成し遂げようとしていた事だった
もちろん簡単に容認出来ることではなく、ジョゼフはレオに意見を求めようとするが…
「――なんだと? レオが姿を消した!?」
「命の器はレオが持っているんだね?
だったらレオは僕と同じことを――」
「クラウス、忘れたのか?
イリスの身に起こったことをもう忘れたか」
「レオに限って――
いや、早くレオを見つけなくちゃ!」
混乱する神殿内部
統率者であるレオは行方不明になり、敵の目的たるゲートを開こうと主張する者が現れる始末
この世界の未来はどうなってしまうのだろうか…